ヒルトン(続き)
翌朝、朝食前にもう一度、漁夫の砦に行って景色を眺めました。
国会議事堂
ドナウ川
イシュトヴァーン大聖堂
朝食を食べてから、遺跡のあるホテルの中庭に出てみようとしたのですが、鍵がかかっていて出られませんでした。ホテルの部屋に、ホテルの名前入りの、オペレッタ名曲集のCD(3400フォリント、1895円)があったので買うことにしました。ハンガリーのオーケストラと歌手で、歌詞もハンガリー語です。今日はゲッレールト・ホテルに移るので、チェックアウトして荷物を預けてから、観光に出かけました。
王宮(国立美術館)、くさり橋、地下鉄
ヒルトン・ホテルの近くのブダの街を一周してから、ブダの丘の南端にある王宮に向かいました。ブダの街は、歴史を感じさせる建物が並んでいて、装飾も面白い物が多いです。
ブダの街並み
王宮は、今は、美術館や博物館がいくつか入っています。その中の一つ、国立美術館に入りました。入場無料ですが入口でチケットをもらいました。ここはハンガリーの画家の作品だけを展示しています。広くて、ゆっくり見ていると1日かかりそうなので、ざっと見ることにしました。ハンガリーの画家は、あまりなじみがありませんが、1階から4階まで、宗教画、ルネサンス、写実主義、印象派、抽象画、現代美術と、西洋美術の流れ通り作品がありました。
王宮から見たくさり橋
国立美術館を出て、階段でブダの丘を下り、くさり橋を歩いてペスト側に渡りました。くさり橋はブダとペストの間に最初にできた橋で、ブダペストのシンボルの1つです。それから、地下鉄1号線に乗って、オペレッタ劇場に行きました。日本からメールで予約しておいたチケットを買うためです。地下鉄の駅で3日券(2700フォリント、1500円)を買いました。これは、市内の地下鉄、バス、トラムが3日間乗り放題になるので便利です。空港でもらった市内地図が、地下鉄、バス、トラムの路線が分かりやすくて、重宝しました。
ブダペストの地下鉄1号線は、歴史が古く、ユネスコの世界遺産になっています。1896年に開通しました。地下鉄の歴史をみてみると、世界最初の地下鉄はロンドンで1863年に開通しました。主な都市の地下鉄の開通年は、1863ロンドン、1896ブダペスト、グラスゴー、1897ボストン、1900パリ、1902ベルリン、1904ニューヨーク、1913ブエノスアイレス、1927東京、1933大阪、1935モスクワ、などとなっています。ロンドンの地下鉄は最初は蒸気機関車でした。煙がこもらないように、ところどころに地上への穴があけられていたようです。ロンドンの地下鉄では、1905年まで蒸気機関車が使われていましたが、ブダペストの地下鉄は最初から電車でした。
ブダペストの地下鉄は3号線までありますが、2号線は1970年開通、3号線は1976年開通と、新しいので、1号線とはだいぶ様子が違います。2号線、3号線は、他の都市の地下鉄と特に変わった点はありません。2号線、3号線は、ホームまで長いエスカレーターがありますが、1号線は地上から少し階段を下りるとすぐホームです。1号線は、開通100周年記念に開通当初のレトロな姿を復元し、今も走っています。車両は3両編成で、ホームの長さも3両分しかありません。
オペレッタのチケットを買った後、オペレッタ劇場の隣のオープンテラスのレストランで昼食にしました。「オペレッタ」という名前のセットメニューがあったので頼みました。2人分が一緒に大皿に乗っていて、牛肉、チキン、フライドポテト、サラダその他たくさんあって、量が多くて食べ切れませんでした。シイタケのフライが一番おいしかったです。飲物は、カンパリとウニクム・ネクストを頼みました。ウニクムとは、日本の養命酒のような薬草入りの酒ですが、アルコール度は40%あります。何年か前に日本でも、叶姉妹が飲んでいるといって話題になったようです。ウニクム・ネクストは、ウニクムにオレンジ味を付けた新製品です。昼食代は全部で、5550フォリント(3100円)でした。
地質学研究所
トラムとバスを乗り継いで地質学研究所(入場料1人500フォリント、280円)に行きました。ここは、木、土、日の週3日しか公開されていないので、今日しか来られなかったのです。地質学研究所なので、鉱物標本、地質図、ハンガリーの地質学の歴史などが展示されています。しかし、ここはむしろ建物のほうが有名なのです。建築家レヒネル・エデン(ハンガリーは日本と同じく苗字が先で名前が後なので、レヒネルが苗字)の作品です。レヒネルは、ハンガリーの分離派(セセション、フランス語ではアール・ヌーボー、ドイツ語ではユーゲントシュティル)を代表する建築家です。曲線的な装飾が特徴です。チケット売場で係の人が(英語で)結構詳しく説明してくれました。客は私達ともう1組のカップルだけでした。「世紀末建築」というブダペストの建築の解説書の日本語版(63ページ、500フォリント、280円)があったので買いました。
一旦ヒルトン・ホテルに戻って、預けてあった荷物を受け取り、ゲッレールト・ホテルに向かいました。荷物を整理して、着替えてオペレッタに出かけます。
オペレッタ「チャールダーシュの女王」
ブダペストには、オペラ座とは別にオペレッタ劇場があって、毎日オペレッタやミュージカルを上演しています。
チケットはメールで予約しました。オペレッタ劇場のサイトから、オンラインでもチケットが買えるようなのですが、ハンガリー語だけで、よく分からないので、英語でメールしたのです。
客席は馬蹄形で3階まであり、2階がボックス席になっています。料金は、8000フォリントから1150フォリントで、1階より2階ボックス席のほうが値段が高いです。私たちの席は2階の中央やや右よりのボックス席の1列目です(1人5900フォリント、3300円)。メールで予約した時、「サンドイッチと飲み物付」と書いてあったので、どうなっているのかと思っていましたが、幕間の休憩時間に別室に案内され、客席ごとに指定されたテーブルといすがあって、用意されていたサンドイッチと飲み物をいただきました。サンドイッチと飲み物が付いているのは、たぶんボックス席だけだと思います。
オペレッタのチケット
「チャールダーシュの女王」は、ハンガリー生まれのオペレッタの作曲家カールマーンの代表作です。第一次世界大戦中の1915年にウィーンで初演されました。今回は、ハンガリー語上演で、ドイツ語の字幕付です。話の中で歌手のシルヴァが出演している「ヴァリエテ劇場オルフェウム」というのは、ブダペスト・オペレッタ劇場の昔の名前です。つまり、この劇場自体が、話の舞台になっているのです。
あらすじ
侯爵の息子エドウィンは歌手のシルヴァと愛し合っているが、両親の侯爵夫妻は身分が違うと反対し、いとこのシュタージとエドウィンの婚約を決めてしまう。シルヴァはアメリカ公演に旅立つ。エドウィンとシュタージの婚約披露宴に、アメリカ帰りのシルヴァがボニ伯爵夫人と偽って現れる。エドウィンとシルヴァは互いの愛を確かめる。一方、ボニとシュタージも愛し合うようになる。実はエドウィンの母親である侯爵夫人も昔歌手だったことが明らかになり、シルヴァとの結婚を認め、ハッピーエンド。
オペレッタは、日本で「こうもり」とオペレッタ・ガラを1度ずつ見たことがあります。「こうもり」はどちらかというとオペラに近いですが、「チャールダーシュの女王」はミュージカルに近いです。というより、こういうオペレッタがもとになって、アメリカでミュージカルができたらしいです。オペラの歌手は、ほとんど踊ったりしませんが、今日のオペレッタでは、歌うだけでなく、踊ったり、コメディアンのような台詞や演技で笑わせたりしています。特に、三枚目のボニのほうが、二枚目のエドウィンより、活躍していました。ハンガリー語なので台詞は分かりませんが、歌やダンスは十分楽しめました。この劇場は何回か来日公演もしているようなので、また来日公演があれば行きたいと思います。プログラムは売っていないようでした。配役は玄関ホールに掲示してありましたが、書き写してこなかったので分かりません。
オペレッタ劇場のサイトに「チャールダーシュの女王」の動画ファイルがあるので、リンクをつけておきます(mpeg、20秒、2.8MB)。