スコットランドの青年ジェームスが、エフィとの結婚を控えながら、シルフィードという妖精に心を奪われ破滅する話である。ラ・シルフィードには、ブルノンヴィル版とラコット版があるが、これはブルノンヴィル版である。ロシアでは「シルフィーダ」と呼ばれている。ちなみに、フォーキン振付、ショパン作曲の「レ・シルフィード」はロシアでは「ショパニアーナ」と呼ばれている。今回はトップスターは出ていなかったが、水準は高かった。
東京の新国立劇場でもラ・シルフィードを見たが、吉田都はクラシックバレエの技術は完璧でも妖精らしさが余り感じられず、演出も全体的にあっさりしていた。それに比べると、パリシナは妖精っぽかったし、第2幕の魔女のダンスも雰囲気がでていた。第1幕で、窓が開いて月の光が部屋の中にさっと差込み、風がカーテンを揺らし、同時にシルフィードが現れる所や、第2幕で、シルフィードの仲間たちが森の中で踊っている間に、衣装の色が淡い赤、青、黄に次々変わって見える所が、幻想的で美しかった。
座席は、15日は2階の1列目。日本の劇場とは違い、木の椅子が置いてあるだけなので、座席係のおばさんに教えてもらわないと、自分の席が分からない。舞台を見るには最高だが、やや窮屈だった。16日は、アンフィテアトルという、1階奥の階段席である。1階の大部分は、ほとんど平らで木の椅子が並べられているが、奥の2列だけ階段になっていて席が固定されている。1番奥でも舞台との距離はそれほどなく、舞台がよく見えた。
チケットは、16日のは日本の旅行社に頼んだ物で、13,000円、15日のはインターネットのボリショイ劇場のホームページで買った物で、760ルーブル(3000円)だった。チケットの券面に書かれた値段はそれぞれ、270ルーブル、260ルーブル(1000円)だ。外国人料金で3倍になり、ロシアと日本の旅行会社の手数料が上乗せされて、さらに4倍になったという事だろう。1999年のボリショイバレエの来日公演は、NHKホールのS席が19,000円だったが、本拠地ではこの値段で見られるのだ。
そして何と、ボリショイ劇場では日本語のプログラムを売っていた。とは言っても、ロシア語のプログラムに、見開き4ページの日本語のものを挟んであるのだが。あらすじと解説を4ページにまとめ、ワープロで打って、両面コピーした物のようだ。日本語以外にも、ドイツ、フランス、中国、韓国など10か国語ぐらいあった。英語版は別にきちんと印刷してあるようだ。
ボリショイ劇場の裏手にスーベニアショップがあったが、残念ながら休みだったので、幕間にビュフェで、劇場のロゴ入りの皿(1枚150ルーブル)をおみやげに買ってかえった。